ゲーセン感覚のレールシューター『Blue Estate』

Blue Estateスクリーンショット

『Blue Estate』は一人称視点のシューティングゲームだが、多くのFPSタイトルのように左スティックで移動しながら右スティックで照準を合わせる作品ではない。移動は完全にオートで、プレイヤーは一部の動作(扉を開ける、障害物を避けるなど)のときに左スティックを操作するだけとなっている。入力ミスをしても即死せず、受付時間も長めの緩いQTEのようなイメージだ。

先日のSteamウィンターセールで購入し、最低難易度でストーリーとアーケードモードをそれぞれクリアした。

Blue Estate

レールシューター(ゲームセンターにある、ガンコントローラでプレイするシューティングゲームのような作品)に分類されるBlue Estate。通常価格は1,280円で作品のボリュームに対してやや割高とも感じられるが、セール時には320円まで下がるのでまさにゲーセン感覚の価格である。これでコンティニューはおそらく無制限、一通りクリアするだけでも約3時間遊べるのだから十分お得と言えるだろう。

Steamにはあまり多くないジャンルだが、キャラクターの移動と照準の操作を同時に行うFPSが忙しくて苦手だというユーザにはおすすめの作品だ。QTE的なアクションはあるものの、入力ミスをしたら即死でムービーシーンを最初から見直す羽目になるといったことはない。

敵キャラクターがおっさんになって別の方向で下品になった『ぎゃる☆がん だぶるぴーす』のようなものである。ぎゃる☆がんのゲーム部分が楽しめたなら、おそらくこちらも楽しめるだろう。ただし、あちらと比べるとストーリーモードは1ステージがかなり長いので疲れるかもしれない。ステージのクリアにかかる時間は20分~30分程度だ。

おすすめポイント

ボスキャラクター

難しいことを考えずにプレイできる

プレイヤーが自由に移動できるFPSでは、撃たれないように上手く移動しながら敵を狙わなくてはならない。特に対人FPSであれば相手がどう動くかも考えて位置取りを決めなくてはならないため、頭も手元も常に忙しい。

Blue Estateでは、そういったことを考える必要がない。移動するルートは固定で、分岐などもない。敵は決められた箇所で登場するので、反射神経か記憶力を頼りに照準を合わせて撃つだけだ。

繰り返しプレイしてキャラクターや武器を育てるといった成長要素もないため、好きなときに遊べるのも嬉しい。下積みをしなくても、いきなり楽しめるようになっている。

デフォルト設定では優秀なエイムアシストが働いているため、適当な操作でもヘッドショットが可能なこともプレイの敷居を下げている。

正しいQTE

ストーリーモードでは、移動シーンと敵を倒すシーンを繰り返しながら進んでいくことになる。その途中にしばしば挟まれるのが左スティックの操作を要求する場面だ。扉を開く、アイテムを拾うなどのシーンで適切な操作を求められる。

ステージによっては頻度が高めだが、ムービー中にボタンを押し損ねたら即死するわけではないのでストレスになりにくい。むしろ、臨場感を高める働きをしている。

入力が遅れるとダメージを受けたりアイテムを拾わずに進んでしまったりすることがあるものの、入力ミス一つでコンティニューする羽目にはならない。

おすすめできないポイント

近接攻撃を仕掛けてくる敵もいる

全編がコメディ&早口の英語

シリアスなストーリーを求めているなら、他のシューティングゲームを選ぶべきだろう。Blue Estateのストーリーや主人公の言動はエンディングまでずっとコメディである。銃撃戦の合間に「足元注意」のサインが理解できなくて転んだり、前髪が落ちてきて前が見えなくなったりするのだ。

また、日本語は音声だけでなく字幕さえも含まれていない。英語の字幕を表示することは可能だが、キャラクターのほとんどが早口なので追い切れないこともある。戦闘中に会話が入ることも多く、その場合はそもそも字幕を見る余裕がないだろう。

移動が自動なのでプレイするだけならば支障はないが、ストーリーをしっかり理解して楽しみたいなら高い英語力が必要になりそうだ。

見えにくい敵

ステージごとに舞台となる場所が異なるBlue Estateでは、濃い霧が出ていたり暗かったりで視界が悪いところを進むシーンも多い。ディスプレイの大きさや解像度にもよるが、そうした場所では敵の位置がほとんど分からない状態で狙うことになる。

攻撃される前に出るマーカーやエイムアシストのおかげで理不尽な難易度にはなっていないが、敵の姿が見えにくいせいで視覚的な迫力がない。表示されたマーカーをクリックしているだけという感覚になってしまうかもしれない。

使いにくい遮蔽物

移動操作はないが、場面によってはリロードキーを押しっぱなしにして遮蔽物に隠れることが可能だ。だが、大抵の遮蔽物は簡単に壊れてしまう。

主人公がいきなり移動することもあってカバーが使える状態かどうかが分かりにくく、隠れるよりも素早く敵を倒してしまった方が良いシーンが多い。

やたら硬いボス

登場する敵は人間ばかりなので、ヘッドショットすれば初期装備のハンドガンでも即死する。ヘルメットなどを被った敵でも、1発でメットを破壊して2発目で倒せる。だが、ボスキャラクターは非常にタフだ。

特殊なウイルスによって変異した怪物や宇宙生物ではなく普通の人間なのに、大量の銃弾を撃ち込んでもなかなか倒せない。爆発物などを利用してダメージを与えられるシーンも少なく戦闘が長引きがちなので、飽きてくるかもしれない。

レールシューターが嫌いでなければおすすめ

霧の中での戦い

真剣にシューティングゲームとしてプレイすると気になるところも多そうだが、エイムアシストを有効にして適当に遊ぶ分には非常に楽しい作品だ。セール時には価格も手頃になるので、こうした作品が嫌いでなければ購入する価値はあると思う。

日本語に対応していない点についても、ゲームを遊ぶだけならば気にならない。全てを理解しようとしなければ、絵と知っている単語だけでも話の流れはなんとなく分かるだろう。

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