格闘ゲームを含むエンタメ作品『BlazBlue: Chronophantasma Extend』

キャラクターセレクト

Steamの旧正月セールで同時に購入した3本の格闘ゲームのうち、2番めにインストールした『BlazBlue: Chronophantasma Extend』。先日レビューを書いている『Arcana Heart 3 LOVE MAX!!!』と比べるとSteamでの発売が半年ほど後のタイトルであり、こちらの方が格闘ゲーム初心者向けだと感じた。

親切なチュートリアルやキャラクターを取り巻く物語を見られるストーリーモードが用意されているので、「ブレイブルーシリーズが初めて」のプレイヤーだけでなく「格闘ゲーム自体が初めて」のプレイヤーでも入りやすい作品だ。

エンタメ作品

BlazBlue: Chronophantasma Extendは、ストアページで「対戦格闘ゲーム+ヴィジュアルノベル」という新しいジャンルを確立したと自称しているブレイブルーシリーズの1作だ。

新作『BlazBlue Centralfiction』

注意点として、このBBCPEXがもはや旧作になっていることが挙げられる。Steamでも続編が発売されているので、オンラインでの対人戦が目当てならば最新作を選ぶべきだ。だが、ストーリーやローカル対戦・CPU戦を遊ぶだけならばCE(Chronophantasma Extend)でも良いだろう。旧正月セールでは596円まで値下げされており、ソロプレイのみでも十分元は取れる。

初心者を引き込む体制

先日プレイしたアルカナハートにも自由に基本操作やコンボの練習が可能なトレーニングモードが用意されていた。しかし、アルカナハートのトレーニングモードは完全にプレイヤー任せだ。どのように、どういった操作を練習するのかがプレイヤー側に委ねられているため、格闘ゲームそのものを初めて触るというプレイヤーは何をするべきか分からず途方に暮れてしまうだろう。

それに比べ、ブレイブルーは初心者を支援する体制ができている。こちらにはトレーニングモードだけでなく、充実のチュートリアルモードがあるのだ。スタイリッシュモード(簡単な操作でコンボができるモード。アルカナハートで言うシンプルモード)で遊ぶならスタイリッシュモードのチュートリアルを見るだけで遊べ、本格的にコマンドを覚えたくなったら各キャラクター立ち回りまで学べるチュートリアルがある。

また、用語集に格闘ゲーム用語(「固め」「切り返し」など)が掲載されているので攻略サイトで情報を集めるときの助けにもなるだろう。他のジャンルでもそうだが、専門用語が多くてジャンル違いだとまず攻略情報の解読から始めなくてはならない。

本格的すぎるストーリーモード

ストーリーへの力の入れようもブレイブルーの特徴と言えそうだ。この作品のストーリーモードは格闘ゲームのストーリーモードというよりも「ミニゲームとして2D格闘シーンのあるビジュアルノベル」である。

ゲーム部分でのプレイアブルキャラクターを中心とするライトノベル的ストーリーが展開され、それぞれの立場や性格を知るきっかけとなるだろう。格闘ゲームが初めてでどのキャラが自分に合うのか分からないなら、ストーリーを見て気に入ったキャラを使うのも良い方法だ。

このストーリーモード本編はナレーション以外フルボイスであり、アニメやゲームで名前を知られた声優も多数出演している。本編だけでなくギャグシナリオなどもあり、ボリュームもかなりのものだ。セール時ならこちらを目当てに買ってもおかしくないものとなっている。

順番に敵と戦っていくだけのシンプルなモードは、ストーリーモードではなくアーケードモードという名前で収録されている。

難しくない格闘ゲーム

2D格闘というゲームの性質上、ブレイブルーでもコンボを覚えたり相手の技を見切って反撃したりといった要素はある。だが、比較的キャラクターを動かしやすい作品だ。動きが速すぎて制御しにくい、逆に遅くてテンポを合わせるのが難しいというキャラクターもいるものの、全体を見ると素直にプレイヤーのイメージしたように動いてくれるキャラクターが多い。

スタイリッシュモードならば覚える操作が少ないため、一通り基本操作さえ覚えてしまえばアーケードモードを遊びながら慣れていけるだろう。動かないサンドバッグを相手に長々とコンボの練習をしなくても、すぐ遊び始められるのが嬉しい。娯楽としてのゲームでは、楽しくなるまでの時間が短い方が良いはずだ。

強い個性が人を選ぶゲーム

個性的なキャラクター

個性が強すぎるキャラクター

格闘ゲームは一般にキャラクター数が多く、差別化のために強烈な個性を持たされているキャラクターも少なくない。ブレイブルーのキャラクターたちはその中でもクセの強い方と言えるだろう。

忍者や軍人からマッドサイエンティストに各種人外まで豊富なキャラクターがいるにもかかわらず、誰も彼もが厨二病的である。コズミックホラーでもないのに、世界を壊せそうなキャラクターが何人もいるのだ。

茶番・パロディネタ

ストーリーも同様に、根底を貫くのは中二マインドである。「メインキャラ同士の対立で世界がやばい」中で主役たちはくだらないやり取りを繰り返す。会話ではアニメやマンガのパロディネタなども多く、このノリが受け付けないと辛いだろう。

いろいろ許せるプレイヤーへ

こうした要素を楽しめるプレイヤーにとっては、ストーリーやキャラクターへの親しみが格闘ゲームに対する抵抗感を薄れさせてくれるはずだ。チュートリアルも存在するので、格闘ゲームは難しそうだからと敬遠しているプレイヤーにこそ手を出して欲しい作品である。

カルルやレイチェルなど特殊な操作を要求される一部のキャラクターを思い通りに動かすにはかなりの熟練が必要だが、ほとんどのキャラクターは動かすだけなら簡単だ。格闘ゲームをほとんどプレイしてこなかった僕でも動かしやすいと感じたラグナ、ノエル、セリカあたりのキャラクターから触ってみてはいかがだろうか。

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