ネットの世界で「時間を買う」例としてよく紹介されるのが、家事にかかる時間の短縮や手間の削減をしてくれる家電です。
比較的手頃なところでロボット掃除機や食器洗い乾燥機、コストは大きいが効果も大きいのは乾燥までしてくれるドラム式洗濯機などですね。
古い例だと炊飯器や洗濯機もこうした家電の系譜。
火を見守る必要のある鍋での炊飯と違い、スイッチを入れたら炊きあがりを待つだけの炊飯器なら同時に他のことができます。
洗濯も、洗濯機があれば終わるまで待って最後に干すだけです。
こうした家電は購入にかかるイニシャルコストと電気代や消耗部品のランニングコストを考えても使用者の自由時間を増やしてくれるメリット上回ると言えます。
外食のみで掃除はしない裸族みたいな特殊な生活をしていない限り、プラスが大きいはず。
お金をかけられるなら、アウトソーシングで他の人にやってもらうのも一つの手です。
とはいえ今日気になったのはそうした方法ではなく「無職期間を買う」という考え方です。
ソースが個人のTwitterだったのでリンクは控えておきます。
比較のために時短家電の話もしますが、主題はこちら。
時間の価格はまさに時価。
実際には本人の職業や収入に大きく依存します。
お金が貯まったらブランド品や贅沢な旅行に費やすのも良いですが、何もしない時間を買うことでより大きな満足感を得られることもあるのではないでしょうか。
時短家電がもたらす時間の価値
実際に時短家電の導入を検討する場合、節約できる時間の値段は「その時間に働いていたとすればいくら稼げるか」で計算するのがおすすめです。
我が家にはロボット掃除機があり、食洗機の導入を少し考えており、ドラム式洗濯機は他のものとの兼ね合いで将来的には…といったところ。
具体的には以下のような変数を計算に含める必要があります。
ロボット掃除機
掃除を一切しないという人はいないはずなので、3つの中では最も万人に勧められる時短アイテムです。
人を家に呼ばないのであれば見た目の汚さはあまり問題になりませんが、ずっと汚いままにしていると自分自身の健康に悪影響が出てくるので掃除しないという時短方法はおすすめしません。
価格の幅は広く、ランダムに走り回ってぶつかったら方向を変えるだけの自走式掃除機であれば2万円前後から購入可能です。
水拭きもできる、カメラで危険なものを避けられる、ゴミを圧縮して捨てる回数を減らせるなど多機能なものは10万円くらいでしょうか。
削れる作業は掃除の中でも床の掃除機がけ(+水拭き)だけで、1回あたりの時間は30分くらいでしょうか。週末しか掃除しないで週に30分ですね。
水拭きもするなら倍以上かかりそうですが、普段の掃除で床の水拭きまではしない人が多いのでは。
時間以外のメリットとして、人が掃除するよりもむしろきれいになることを期待できます。
普段から床に物をおいたりケーブルを這わせたりしないように部屋を片付けているのであれば、週1ではなく毎日でも掃除してもらえますからね。
デメリットはロボット掃除機そのもののメンテナンスの手間が発生すること、多くの場合ロボット掃除機のために部屋を片付ける必要があることでしょう。
特に低価格なモデルほどカーテンやケーブルに突っ込んでトラブルを起こすので性能を発揮してもらうには工夫が必要になりますし、頻繁に溜まったゴミを処分する必要があります。
食器洗い乾燥機
ロボット掃除機と異なり、食器を洗うという家事のコストはライフスタイルによってかなり変動します。
場合によっては食器洗いが一切ない人もいるかもしれません。
一人暮らし向けの小型モデルなら価格はロボット掃除機と近いです。
我が家はほぼ自炊せず中食ばかりなので、コップと箸くらいしか洗うものがありません。
それすら使い捨ての割り箸を使ったりペットボトルから直接飲んだりすればなくせるので、削減できる時間は数日ごとに5分といったところです。
これが食洗機を導入していない大きな理由。
洗い物は気持ちの上で非常に面倒ではあるものの、時間はかかっていないのでイニシャルコストを取り戻すのに結構な期間がかかります。
水を使う機械なのでそれ自体カビの不安があってメンテナンスの手間がかかりそうですし。
時間以外のメリットとして、洗い物を増やさないために避けているものを食べられるようになって食費を抑えたり健康状態を改善したりはできるかもしれません。
ドラム式洗濯機
よく言われる時短家電としては、最も高額でサイズも大きいのでなかなか気軽に導入できないのがドラム式洗濯機。
住宅事情によっては搬入できない、洗濯機置場に収まらないということもありえます。
縦型洗濯機より本体が大きくなりがちなので、一人暮らし向けの狭い部屋や築年数の経っている物件だと想定されていないサイズになってしまいます。
低価格コンパクトタイプも出てきて、10万円前後からでしょうか。
一人か二人の量なら20万円くらいまでで国内大手メーカーの製品が選べます。
食洗機と同じく削減時間は案外控えめです。
我が家では毎日ではなく2日から3日に1回洗濯するので、3日ごとに10分程度ですね。
入浴後の浴室乾燥でついでに乾かす感じなので、天気を気にする必要がなくなるといったメリットは特に得られません。
大きいのは洗濯終わりを待って干す作業がなくなることですね。
洗濯機を回したまま寝たり出かけたりできるのは嬉しい。
無職期間を買う
無職期間を買う場合、その期間に働いていた場合の収入を計算するのではなく生活に必要な費用で考えるべきでしょう。
月に20万円で生活できるならそれが値札となります。
何十万円の機会損失と考えるとかなりの高級品になってしまい、なかなか手が出せません。
働いていないときの生活費
仕事をしているからこそ必要な出費というものがあります。
誰もがイメージできるところでは仕事用のスーツやカバンですね。
職場によっては飲み代やランチ代も経費に含めたいかも。
それだけでなく、仕事が原因の出費は他にもあります。
昼食ついでにコンビニで菓子やコーヒー、ショッピングサイトのセールで服や靴、働いていなければ買わなかったのでは?
仕事にはストレスとお金の両方を溜めて買い物を増やす効果があります。
こうした必需品以外の買い物をしなくなる分、働いていないと生活費が下がります。
そもそも動かないから三食食べなくてもエネルギーが足りたりも。
※元々極限まで切り詰めている人は変わらないので注意、健康は大事に
本当に自由な時間
家電は自由時間を増やしてくれるものの、その時間の使い道は限られています。
細切れの時間ではできないことも、翌日の仕事を考えるとできないこともありますね。
徹夜でゲームに取り組んだり、お腹を壊すのが確実なジャンクフードを食べたりといった取引先に説明できない楽しみのためには労働を諦める必要があるのです。
それこそお金にはならない行為ですが、そもそも働いている目的はこうしたやりたいことのためのはず。
このタイプの自由な時間はお金だけで手に入らない面があるため、チャンスがあるなら確保していきたいです。
転職はチャンス
普通の企業で会社員として働いている場合、無給だとしても個人の都合で長期の休みを取るのは難しいでしょう。
そこでおすすめするのが転職時に入社日をずらす方法です。
もちろん無職期間は収入がないわけですが、これまで働いてきたなら1ヶ月や2ヶ月分の生活費は出せるのではないでしょうか。
とはいえあまりにも期間が空くと転職先に説明しにくいので現実的には1ヶ月がちょうど良いのかもしれません。
有給消化と合わせて1月半から2ヶ月というイメージですね。
個人事業主は有利
業種や取引先による差が非常に大きいところではありますが、会社員に比べれば個人事業主は仕事の量を調整しやすい面があります。
売上がなくても良ければ休める、つまり「給料いらないので今月は休みます」ができるわけです。まさに無職期間の購入。
もっとも、翌月仕事があるかは分かりません。
会社員の転職と同様に取引先が変わるときや、大きなプロジェクトが終わったタイミングで少しまとまった休みを取るのが現実的ですかね。
後者のパターンで1ヶ月は難しくても、1週間2週間なら売上と引き換えに取りやすい傾向はあると思います。
無職購入とFIRE
安くて小さな無職と高くて大きな無職
現在は先行き不安に投資ブームもやや下火になった感がありますが、ここ数年は適当に株を買うだけでも大きく資産を増やすことができる状況が続いていました。
国内のインフレも始まっておらず、そうした中で話題になっていたのがFIREですね。
なんらかの方法で資産を作り、早期退職するという生き方です。
起業を勧めたり不動産投資を勧めたり生活費の圧縮を重視したりと、詳細は人それぞれでいくつも流派があるようです。
名前は違いますが、これは無職購入の最上位版と言えます。
期間を決めて働かないのではなく、ずっと働かないためにお金を用意するわけですね。
一生分の生活費を賄えるだけの大金を貯めて資産を食いつぶしていくか、株や債券に投資して生活費を賄っていくかのどちらか、または両者のバランスを取っていくイメージ。
前者は生活費×生きる予定の年数+インフレ分に足りる資産が必要で、後者では年間生活費の25倍あると足りる確率が高いとか。
いずれにしても結構な金額を用意する必要があり、若くして達成するのは決して容易ではありません。
労働のみで必要な現金を用意しようと思うと40歳での退職としても40年分50年分の生活費を見込む必要があり、それだけの期間に渡って働きながら厳しく節約を続けるのはかなり難しいのではないでしょうか。
無職購入のリスク
無職期間の購入に同意する人にとって、ずっと無職でいられるFIREは最終目標のはず。
ここで厄介なのが頻繁に無職期間を取るとそれだけゴールは遠のくという事実です。
働いていない期間は収入がなくなって生活費がかかるので、働かない期間の割合が大きくなればそれだけ資産が増えるペースは遅くなります。
さらに大きな問題が働いている期間の収入の減少。
頻繁または長期間の無職期間を取っていると、スキルや評判が落ちて収入に悪影響が出る可能性は否定できません。少なくともプラスの効果はないでしょう。
働いていない期間にこそスキルを高めたり資格を取って転職したりという人もいるかもしれませんが、それは無職の目的が違うので置いておくとして。
贅沢品としての無職期間
こうして見ると、無職の期間を取るのはまさにお金を使う贅沢の一種ですね。
時間が得られるという違いはあるものの、まだ旅行やブランド品の方が人には説明しやすい強みがあります。
ひたすらFIREを目指すなら避けるべき贅沢行為とも言えますが、予行演習として働かない日々を過ごしてみれば節約や収入アップへの意識が高まるかもしれません。
逆に働いていないと生きがいがないと感じる自分を発見してしまうかも。
機会があれば試してみてください。
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