pha『持たない幸福論』

たまの休みなので、読んだ本のことでも書こうということで更新してみます。
背景画像からも分かるように、元々このブログは読書メモになる予定だったんですよ。
気がついたら消滅都市の攻略記事がメインになっていましたけれどね。

今回紹介するのは、『持たない幸福論』。
『ニートの歩き方』で一部では非常に有名になったphaさんの本です。
一言で言ってしまうと、退職したくなる本です。
僕はけっこう読んだ本の影響で行動が変わるので、危ない危ない。

とはいえ、本やマンガから影響を受ける人は少なくないですよね。
中学・高校の部活に入る人数が、流行っているマンガによって変わるという話を聞いたことがあります。

スラムダンクでバスケ部、テニスの王子様でテニス部の入部希望者が増えたとか。
けいおんで楽器が売れたり、ヒカルの碁で囲碁人口が増えたりしたとか。

僕としては放課後さいころ倶楽部の影響でアナログゲーム人口が増えると楽しいかなー、なんて思います。
今はスマートフォンの無料アプリでも本格的なゲームができる時代ですが、アナログゲームで対面の相手と協力したり競い合ったりするのも楽しいものですよ。

持たない幸福論 [ pha ]
持たない幸福論 [ pha ]
価格:1,296円(税込、送料込)
さて、布教はこのくらいにして、本の話題に戻りましょう。
この本では表紙にある三つのテーマが扱われています。

  • 働きたくない
  • 家族を作らない
  • お金に縛られない

まず最初の「働きたくない」。
紙数はここに一番割かれているように思います。
三つ目の「お金に縛られない」というのもここに繋がってくる内容ですからね。

働きたくないというのは、著者が実際に会社勤めをした経験から
「自分には毎朝決まった時間に起きて、予定通りに出社する生活が向いていない」
と感じたところからきているようです。

この章を読んで共感しつつ疑問だったのですが、毎日の予定が決まっている方が良い人というのは存在するのでしょうか?
純粋な疑問として、生活できるだけの収入が確保できるなら、仕事に盗られる時間は少ない方が良いに決まっていると思うのです。
働く時間を増やして収入を増やしたい、と思う人も居るのでしょうか。

著者の考え方は、
「お金は必要だけど、収入を増やすためにもっと働くのは嫌だ」
というものです。
だから、会社員を辞めて(自称)ニートになったわけですね。

実際には最後の章で出てくるように年間100万円程度の収入があるそうなので、ニートとは呼べないと思いますけれど。
低収入ではあるけれど、定職につかずにそれだけ稼げているなら全く問題ない金額です。


次に、「家族を作らない」。
作らないのか、お金が無いから作れないのか。
いずれにせよ、今の日本では50年前のように夫が働いて家族を養っていくという生活形態は成り立たなくなってきている、というお話です。
そこで著者が提案するのがシェアハウス。

他人と一緒に暮らすことに向いている人、向いていない人は居るでしょうけれど、家族ではなく友人と暮らすというのは一つの方法ですね。
一人じゃないから寂しくないし、家賃も複数人で払えばかなり安く抑えることができます。
良いメンバーを集めるのが難しいところですけれど、そのあたりについても最後の章でまた出てきます。

家族という枠組みに縛られるのではなく、適度に利用しつつ趣味のサークルやご近所と上手く付き合って暮らしていきましょう、という感じですかね。
家の問題は全て家族で解決するというのは、はなから無理な相談です。
一家族が10人も居るような時代であれば、役割分担でなんとかなるかもしれませんが、今はそうではありません。
共働きの核家族で働き手が一人倒れれば、あるいはリストラされれば、家族全員の生活が崩壊しかねないのです。

考えてみれば、家族というのはかなり無理のあるシステムなのですよね。
全員が健康で、子どもと老人以外が労働に積極的でなければまともに回らないのですから。
働きアリですら2割がサボっているというのだから、数家族に一人くらいはサボる人が出るのが自然な計算になるのですけれど。


最後に「お金に縛られない」。
ここでは、著者の別の本を広告しつつ、現金に依存する度合いが高すぎる都市型生活への疑問が投げかけられます。
衣食住を買って済ませ、サービスもお金と引き換えに利用する。
言われてみれば日常生活は外注ばかりです。

どうやら、著者にはその生活実感の無さが我慢ならなかったようです。
料理をして自分の食べるものを用意したり、家を修繕したり、田舎でDIYをするようなことが都会の毒を解毒してくれるとか。

なんとなく言わんとしていることは分かる気がしますね。
自分は全く料理をしないので料理が趣味という感覚は分からないのですが、お金中心で生活しているために労働するしかなくなっているとは感じます。
自分でできることが増えれば、現金収入がもっと少なくても暮らしていけるのかもしれません。


この本に書かれている生き方を実践するなら、お金で問題を解決する前に一呼吸置いて、自分で、もしくは得意な友人に頼んで解決できないか? を考えるような生活をすることになりそうです。
お金から離れることと同時に強調されているのが、友人のネットワーク、居場所を作ることの重要性ですから。
それはシェアハウスでも、ファミレスに定期的に集まるのでも良いのですが、何かしら人との繋がりを保たないと人間生きていけません。
仕事をやめてご隠居のような生活をするのはさすがに極端ですが、現役世代ももう少し、ぼんやり暮らすことを身につけてもいいのかもしれません。

ちなみに、著者は25歳で就職して28歳で会社を辞めています。
3年は一応働いていたみたいです。
会社でもネットしたりTwitterを見たりして社内ニートだったとは書かれていますけれど、突発的に離職してしまったわけではないようですね。
勢いでの退職はダメ、絶対。


いずれ今の仕事を辞めようとしている自分には、参考になることの多い本でした。
特に、田舎に引っ込めば月10万以下の収入でも余裕で暮らせる、という発想には目からうろこが落ちた思いです。
今の副業は在宅でできるので、住む場所を移せばある程度安定した生活が送れるのかもしれません。

移住する先を真面目に検討した方がいいのかなー、という考えも浮かんできますね。
ある占いによると今年は遠出が多いらしいので、新たなフルサト探しのことを指しているのかも? なんて。

また休みがあれば本の紹介もしていきますが、この本は最近読んだ中で一番のおすすめです。
別に仕事をやめたいと思っていない人も、一度読んでみると
「こういう考え方の人も居るのか」
という気付きが得られるかもしれません。

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