付けた名前で魔法の効果が決まる『A Magical High School Girl』

魔法で戦うダンジョンRPG

Humblebundleが提供していたHunie Sekai Bundleで、ビジュアルノベルを中心とする複数のPCゲームをまとめて入手した。その中の一つが『A Magical High School Girl(魔法の女子高生)』だ。

可愛らしいドットで描かれた世界で女子高生が戦うRPGであり、自分で魔法の名前を付けることができる(名前に応じて性能が決まる)という他にないシステムが採用されている。効果は作ってみるまで分からないが、カタカナで英単語や他のゲームに登場する技の名前を付けるとイメージに近いものができることもあるようだ。

技名を付ける楽しさ

この作品の最大のウリは自分で魔法の名前を考えることができるシステムだ。作られる魔法の性能にはある程度の法則性があるため、「この単語とこの単語を組み合わせるとこういう効果になるかも?」と想像しながら試していく楽しみがある。ただ、プレイヤーによっては最序盤しかこの楽しさを享受できないかもしれない。

名前の制限と無関係な効果

魔法に付ける名前は自由だが、カタカナのみという条件がある。そのため、漢字やひらがなを使った名前の魔法は作れない。また、単語の意味と全く関係のない効果が付いてしまうことも多い。スマートに謎解きしていくのではなく、力技で優秀な組み合わせが出るまで魔法を作り続けることになってしまいそうだ。

強力な効果の存在

A Magical High School Girlには、毒や加速といったローグライクRPGで一般的な補助効果が登場する。敵にこれらの状態異常を付与する補助魔法を作ったり、攻撃魔法にこうした追加効果を持たせたりといったことも可能だ。

だが、一部の魔法はゲームバランスを大きく変えてしまうほど強力だ。強力なものの例としては加速効果(1ターンに2回動ける)や召喚(特定のモンスターを味方として召喚する)が挙げられる。

他のローグライク作品では巻物やポーションといったアイテムを消費しないとこのような効果を得られないのでバランス崩壊を起こしにくいが、この作品ではMPさえあれば加速状態で毎ターン2体ずつモンスターを召喚することも可能になってしまっている。

汎用キーワード

最序盤の楽しみさえスポイルしてしまう可能性があるので例は挙げないが、名前に含めるとMP消費が少ない魔法になる、攻撃属性を指定できるといった便利なキーワードがいくつかある。せっかく自由に魔法の名前を付けられるシステムがあるのに、特定のキーワードを使わないと強力な魔法ができにくいのだ。

そうしたキーワードをプレイヤーが自主的に封印することも可能ではあるが、そもそもゲームバランスがあまり良くない。特に強い魔法を封印してしまうと、クリアには相当なやり込みが必要になるだろう。

魔法の合成

ある程度ゲームを進めると魔法の合成が可能になる。合成で広範囲攻撃魔法と状態異常魔法を組み合わせれば、広範囲にダメージを与えつつ状態異常をばら撒くような呪文を作ることも可能だ。ここまで来ると、優秀な名前を探すよりもある程度「使える」魔法同士を合成してしまった方が手っ取り早く強い魔法を生み出せる。

アイデアは素晴らしい

魔法の詳細

MPとHPの関係

A Magical High School GirlにはMPと呼ばれるパラメータがあり、魔法を使うことで減少する。このMPは他のゲームでいうHP/ヘルスの役割も兼ねており、ゼロになるとゲームオーバーだ。しかも、敵の攻撃を受けることでもMPが減少してしまう(HPも減る)。

HPと呼ばれるものもあるが、こちらはMPのリザーブのような存在だ。HPが残っていれば、HPを消費してMPが徐々に回復していく。MPが最大の状態でもHPの減少がなくなるわけではないため、他のローグライク作品における満腹度のような存在である。

このシステムがあるため、威力の大きな魔法ができたからといってそれを連発しているだけではクリアできないようになっている。魔法のコストを抑えることがポイントだ。

やり込みが必要なローグライク

ローグライクは「死んだら終わり」なジャンルだ。作品や難易度の設定にもよるが、ダンジョンをクリアできずに死んでしまえばレベル1に戻って持ち物を全て失うというものもある。そんな厳しいジャンルの中でA Magical High School Girlはかなり甘い方と言えるだろう。

死亡時には一部の特殊アイテムを除いて全てのアイテムが失われるが、レベルはそのままだ。さらに、一度覚えた魔法は次のプレイでも使える。デスペナルティはあるものの、通貨となる魔石も一部を持ち越せる。ローグライクでありながら、育成を行わないとクリアは難しいだろう。魔法合成やレベル上げで好きに性能を強化する感覚は、ディスガイアのやり込みに近い。

低価格(セール時700円程度)のインディーズ作品としてはクオリティが高いのだが、ゲームバランスが良いとは言いにくい。やり込み好きかつダンジョンに潜るRPGが好きというプレイヤーなら…シンプルなスマホゲーで地道にステータスを上げていくような作業が苦にならないのであれば、セール時に購入してみても良さそうだ。

Steamのストアページでもローグライクという書き方はされていないので、ローグライク風のRPGと考えるべきなのかもしれない。いずれにしても僕は面倒でまともにクリアできる気がしなかったので、優秀な効果が付く魔法の名前を検索してしまった。

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